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映画プロデューサー・李鳳宇氏が紆余曲折を経て持ち続けている映画への思いとは?(仕事とは? Vol.79 映画プロデューサー 李鳳宇)


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映画プロデューサー・李鳳宇氏が紆余曲折を経て持ち続けている映画への思いとは?(仕事とは? Vol.79 映画プロデューサー 李鳳宇)


就職ジャーナル 8月22日(水)13時0分配信




















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映画プロデューサー・李鳳宇氏が紆余曲折を経て持ち続けている映画への思いとは?(仕事とは? Vol.79 映画プロデューサー 李鳳宇)



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映画プロデューサー・李鳳宇氏が紆余曲折を経て持ち続けている映画への思いとは?(仕事とは? Vol.79 映画プロデューサー 李鳳宇)

身近な人たちに見せて恥ずかしくないものを




仕事とは? Vol.79

映画プロデューサー 李鳳宇





■映画配給会社の経営に失敗。もう立ち直れないと思った



ジャーナリズムの勉強のために留学したフランスで映画にのめりこんでしまい、帰国後は仕事のアテがまったくない状態でした。留学中は大学にほとんど行かず、なんの専門知識もありませんでしたし、日本でフランス語を教えて一生食べていけるとも思えなかった。その時に、ただひとつ自分にあったのが、「映画が好き」ということだったんです。



シナリオ作家協会で脚本を学び、徳間ジャパンに入社。映画制作をひと通り修業して、映画配給会社シネカノンを立ち上げたのは29歳の時でした。当時は80年代後半で、日本ではハリウッド映画全盛期。独自性があって面白い作品はハリウッド以外にもたくさんあるのに、大手映画会社ではビジネスになりにくく、あまり公開されていませんでした。大手とは異なる配給ルートを確立すれば、「隠れた名作」も世に出せるのではと考えたわけです。



2011年に代表を退くまで、シネカノンでは150本以上の映画を配給しました。『シュリ』(00年)や『JSA』(01年)がヒットして「韓国映画ブームの火付け役」とも言われましたが、配給作には邦画やフランス映画もありますし、キューバ映画やイギリスのクレイアニメもある。国籍はさまざまですが、共通しているのは一般の日本人になじみの薄い文化や、陽の当たらない人たちを描いた「知らない世界」の映画だということ。ただ、宣伝を工夫して劇場にさえ足を運んでもらえば、誰にでもわかる作品ばかりだったと思います。実際、『パッチギ!』(04年)や『フラガール』(06年)など僕がプロデュースした作品を含めシネカノンの映画は、たくさんの人たちが観てくれました。



それだけに、シネカノンの経営破綻には責任を感じましたし、今もそうです。資金調達上の契約を巡るトラブルなどさまざまな事情はありましたが、僕の経営判断が間違っていたと言わざるを得ません。お客さまや一緒に映画を作ってきた人たちに対して申し訳ないのはもちろん、独立系の映画を盛り上げようと頑張っている同業者の方々をがっかりさせたことが悔しくてたまらなかった。落ち込んで、一時はもう立ち直れないと思いました。



そんな時に友人や仕事関係で知り合った方々が資本金2200万円と新作映画『EDEN』の制作費6000万円を集めてくれ、11年4月に映画制作会社SUMOMOを設立しました。皆さん、「これからもいい映画を作ってほしい」と言って助けてくれたんです。一生懸命仕事をしていれば、見ていてくれる人というのがいるものなんですね。ありがたいなんてものではありませんでした。





■「わがまま」と言われるのを承知で、どうしてもやりたいことがあった



SUMOMOの事業として映画の配給・制作がありますが、もうひとつ力を入れているのが13トンの大型トラックに設備を積んで全国各地に出向く「移動映画館MoMO」です。11年9月に東北の被災地を回って映画祭を開催することからスタートし、09年度カンヌ映画祭グランプリ受賞作品『預言者』など12年公開の作品をほかに先がけて上映しました。



移動映画館というと、地域の集会所などでゴザを敷いて鑑賞する上映会のようなものを思い浮かべる方が多いと思いますが、『MoMO』は違います。エアドームを膨らませて設営した劇場で、最新式デジタル映写機を装備。120席の座席には肘掛けやカップホルダーもついていて、スクリーンが観やすいようシートは階段式になっています。



移動映画館を作るという発想は10年ほど前からあたためてきたものです。当時はシネカノンの経営がうまくいっていて、都内にある直営のミニシアターも好調だった時期です。一方、地方では地元のこぢんまりした映画館が次々と姿を消し、おもに大作映画を公開するシネマコンプレックス(複合型映画館)が集客力を伸ばしていました。そんな状況も手伝って「ミニシアター系のビジネスは都会でしか成立しない」という考えが業界の常識になっていたのですが、本当にそうかなという思いが僕にはありました。日本中の人たちがもっといろいろな映画を楽しめるような新しいシステムを作れたらいいのにと。



そんな時に北フランス地方で移動映画館が人気だと聞いて、岩井俊二監督と見に行ったんです。その移動映画館の設備もお客さまの楽しませ方も素晴らしくて。すぐに実現を検討したのですが、日本の法律に合った移動映画館を運営するには資金も手間もかかりすぎるということでその時は断念しました。ようやく夢がかなったのは、意外かもしれませんが、劇場となるエアドームに使用する素材の開発技術が進歩したことも大きいんですよ。日本の道路交通法ではトラックの最大積載量が定められていて、希望する広さのエアドームを作るのが難しかったのですが、帝人さんが超軽量素材を開発したと聞いて「コレだ!」と思ったんです。



設備の快適性にこだわった分、お金はかかりました。資金は事業に賛同してくれた方たちの援助を受けています。設備を簡素にしたり、各地のホールで昔ながらの映写機を使って上映会をするなどコストを抑える方法はあったかもしれませんが、お客さまに観てもらうからには「本物」を提供したかったんです。これまで東北を中心にいろいろな場所に行きましたが、お客さまには好評ですし、エアドームを広げて設営していると子どもたちが目を輝かせて見物しています。地方の映画館は減少を続けていますが、『MoMO』がかつての名画座に変わるような映画体験を日本中に少しでも届けられたらと思っています。



とはいえ、移動映画館『MoMO』は始まったばかり。良質な映画を皆さんに観ていただく自信はありますが、ビジネスとしてうまくいくかどうか保証はありません。会社の収益だけを考えたら、映画のプロデュースや映画について学校で教えるなど、僕のこれまでの経験を生かせる仕事だけをしていた方が安全かもしれない。友人たちからは「自分にお金もないのにこんな実験的な事業を立ち上げるなんて、お前は究極のわがままだ」と言われます。でも、どうしてもやりたかった。11年12月末時点で全国の映画館は3339館ですが、その8割以上がシネマコンプレックスです。その是非はともかく、問題はシネコンが大手配給会社と一定の契約を結ぶため、良質な作品でも収益性が高くなければ公開されづらくなっていること。公開作品の多様性が薄れれば、日本の映画文化は育たなくなってしまいます。「日本の映画ビジネスのシステムを変える」というような大きなことは言えないけれど、何かを変えられるのは、もしかしたら『MoMO』のようなゲリラ戦の積み重ねなのかもしれないと思っています。



作品の企画・制作から宣伝、配給、劇場運営まで映画を作ったり、見せたりする仕事はひと通り経験してきました。映画について大学などで教えてもいるので、若い方たちから「映画の仕事をしたい」と相談を受けることもよくありますが、「映画の何がしたいの?」と質問するとたいていみんなポカンとした顔をするんです。映画ビジネスは分業で成り立っていて、映画の仕事には監督や脚本家、プロデューサーだけでなく、美術や衣装、映画館のスタッフまで数えきれないほどの仕事があります。それに、例えば大手映画配給会社に入っても、事業が多角化されていて映画の仕事には就けなかったということも起こり得ます。志望の業界で何をやりたいのか、映画業界なら、映画にどうかかわっていきたいのかというイメージはしっかり描いていた方がいいと思いますね。



僕の場合はこの業界に入ったころから、両親や家族、友人など身近な人たちに見せて恥ずかしくないものを作りたいと思って仕事をしてきました。もちろん、お客さまに満足してもらえるものを作ることは大事ですが、正直なところ、遠い存在のことは何も考えてないんです。大切な人たちに、自分が気に入っているものを勧めたくなることってあるでしょう? そんな感じで映画を作ったり、観せたりしてきましたし、これからもそうだと思います。







http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120822-00000001-sjournal-soci
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